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まとめ・文字起こし+ココログ過去記事集

100年インタビュー 山田太一 テレビとドラマの60年(抜粋)

※高柳式テレビ(1926)なぜ画面上に「イ」なんだろう。
ウイルコムのCMのショッカーを思い出した。関係ないのに。

テレビに押されて松竹の観客動員数が減り、テレビ(=電気紙芝居)を買うのが恥ずかしかった。映画だったらワンシーンを1日で撮ってた。ライティングも長いし。木下恵介さんがテレビに移るとき「誰かつけてくれないか」というので、当時助監督の山田さんがカバン持ち状態で行くことに。割合スムーズになじめた。30分のドラマを1年間(←木下恵介アワーかな。)脚本をどんどん書いてるうちにディレクターよりもライターの方が向いてるのではとなった。入った時のテレビ界は活気があった。テレビドラマが社会に入り込んでいく力があった。
 
●可能性に満ちるテレビ
連続テレビドラマはスピードが違うので、ルールに縛られず、つまんないことも撮れるといいますか。玄関から上がって茶の間へあがる、ディテールの面白さ。躓いても撮り直さない、映画なら省略するものを拾えた。「犯人は誰だ」なら日常の描写で立ち止まると怒られるが、ホームドラマならできる。
小津安二郎さんならワンカットに2日かけて撮る緊張感があるが(そこまでない)落差。映画とは違う時間の流れ方の気楽さ。
 
マスコミが、脚本家の名前を書かない時期、70年代の初めぐらい。倉本総さん、向田邦子さん、早坂暁さんとかと「くやしいじゃない」って話はしてたんですよね。こんどNHKが「土曜ドラマ」を始めるについては、ひとりぐらい脚本家の名前を書こうと。その気があれば書かないかと言われ、条件は鶴田浩二を主役にすれば、だった。まだ戦争を忘れない人でしたから。戦争体験で同世代がいっぱい死んでる、
これからの日本をただ楽しむんじゃなく、死んだ人たちに義理を立てて、ひとりで生きていこうとする人を描こうと思って。
特攻隊の生き残りでしたからね。熱心にお話しになる。
私は10歳ぐらい若いから、若い人と特攻隊世代両方を書こうと。絶対視聴率とりたいから、いつものやり方とは違い、ワンテーマで鶴田さん、若い人はどう思うかというのを描いた。あのころは「養老院」と言ってた。お国がお金を出してくださってたから、院長さんの言うことは聞かなきゃ、でも老人たちは心の中でおかしいと思ってるから電車ジャックをしたが、要求はありません、でもこの扱いは無念だ、と。今でもジャックした老人はいるかもしれませんね。「車輪の一歩」を大学の教材に使う。その視点だったら書いてもいいなと思った。ギリギリの迷惑までかけないようにするとなると、体の不自由な人はうちに居ないといけない、だから(迷惑を)かけてもいいよと鶴田さんは言うんです。

 

 
水害は実話。時代が変わってきたが本当に幸せなのか。水害で流れたけどもう1回出直そうって。ホームドラマは人生肯定だけど、ただ肯定ばかりでは世間話を取っただけ。犯罪を通せば内面は描けますが、やっちゃうと実態を逃してしまう。なんとか普通の家庭で、みんなそれぞれ暗闇、自我、エロスを持っている。それが描けないかぁと。
 
一戸建てを持つプラスと、個室に鍵をかけるマイナスで、戦後の家族を描く。内面の不幸を持つ家族を描いてみた。竹脇無我の役は今ならストーカー。こんな陰気な企画がテレビで通るわけがない、と思って新聞小説を書いたら、連載中に「ドラマにしたい」ということに。過去を大切にすることを表現したかった。
 
人間のいちばん深いところでの人と人とのつながり。家族が煩わしい時期もありますよ。父親のそばから逃げ出したいとか。
ひとり暮らしの解放感とか。
家業(食堂)を手伝わなければならなかったが、疎開から戻ると引っ越したとたんに母親が疲れて亡くなったりして。食べていくために親父が旅館に「指圧始めました」と回らなければならない。父の孤独もすごくよくわかりました。女房も死んだし。それがずっと頭にある。

 

コンプレックスを持ってる人たちがこんなにチャーミングなんだ。結局みんなふぞろい。四流大学のコンプレックス。女の人への恨みもあるだろうし。大学生たちに集まってもらって話聞いて。一流大学の人の話は面白くない。いい大学でも容姿がよくない人は複雑さを持っている。「ひきこもり」言葉は当時なかったけど。大変だったけど面白かった。

今は人生を生き始める前に絶望感がある。
頭だけ大人になって。誰かを口説くとか距離感を詰めようとすると、みっともないから避けようとするところがある。
友人は歳月を重ねてこそ深い関係になる。辛抱しないといけない。
 
「無限の可能性」はウソ。生まれた時から限界を抱え、親も国籍も性別も選べない。中学卒業で来賓が言うのなら許されるが
高校生以上でそんなこと言っちゃいけない。誤解を抱えて生きているのだから、1位なんて無理。リアリティがない。
大人になってから目指していたものが嫌いだったことに気づく人も。誤解、限界、錯覚を抱えて生きていくことをなるべくリアルにとらえる必要がある。
 
ドキュメンタリーは被災者を傷つける映像は作れない。書けないことがいっぱいある。
 
結婚しない、子どもはいらないと言っていたのに「絆」と言い始めた。
エゴイズムも助かったことへの罪悪感も、マイナス面を映すのはドラマではできる。教養番組、絵とか好き。
テレビに悪口言うことはあまりないが、ドラマは難しい所へ来ている。

「沿線地図」好きだったなぁ。もう1回TBSチャンネルあたりで見たい。