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まとめ・文字起こし+ココログ過去記事集。

サワコの朝 坂東玉三郎 人間国宝 若い歌舞伎俳優に思うこと。

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SWITCH インタビュー 坂東玉三郎×松任谷由実 こちら

人間国宝というのは
今あることを、後輩に伝えていいですよという使命が与えられるだけ。
なにも、それ以外の、地位が上がるとかそういうことじゃないですね。
(お給料が上がるとか?)・・それはないですね(笑)

 

歌舞伎座は、中に入られたら
ほとんど昔と変わらないと思います。客席も。
エスカレーターのある歌舞伎座なんて。楽屋にもエレベーターがあって・・

 

■記憶の中で今もきらめく曲
自分は海が好きなんですね。
夏が終わっていく、っていう時間がすごく好きなんです。
ですから「誰もいない海」とかすごくたくさんあるんですけど
きょうは、井上陽水さんと玉置浩二さんの
「夏の終わりのハーモニー」を。
玉置浩二さんとは知り合いなんですけれども。
あの頃のお二人、20代の終わり・・
本当に素晴らしい、あんな曲を書いて作詞をして
これから活躍しようっていう息吹というものが出てくるんですね。
ホントの発声をやる前に、これを歌ったりとか
歳をとると、声ってだんだん落ちてきちゃうんですね。
50歳ぐらいの時に、いちばん楽に出る声が出なくなる。
副鼻腔、声帯を支えている器官の仕事が緩んじゃうんですよ。
それを丁寧に開けていくようにしないと。
厳密に言えば、副鼻腔の中にある天井を持ち上げる筋トレ、なんです。
肺の収縮、肺の粘膜を広げて酸素をよく摂るようにして縮めるのをやって
まっすぐ息が出るようにして
声帯に斜めに空気が当たらないようにする。
実はそれしかないんです。セリフだけやってるとダメなんで。
歌も歌ったり喋ったりしながら。
喉は使わない。不自然な顔をしないんです(笑)

 

料亭の息子


わがままだった。末っ子。
体弱かったり、歩けなかったりしたから。
右足が麻痺して。実際歩けなかったのは三月(みつき)ぐらいなんですけど
体強くなかったですね。すぐ風邪ひいたりお腹壊したり。
意外とさ、小ちゃいとき弱い子は、大人になって元気ってことあるでしょ?今あんまり病気しないんですよ。
「強くなるためには踊らしとくのがいいだろう」ってなって
音楽好きでした。走り回れませんでしたね・・
芝居があったので大丈夫でした。

佐和子:守田勘弥さんという人のお家に行って。料亭のお父様お母様が実の親で、そこから守田家の養子に・・

そうですね。稽古に行ったのが7歳。
その間は弟子なんです。母は踊りの先生でしたから。
母のところで稽古しながら待ってればいいんです。

 

佐和子:途中で、何か他のことに興味を持つとか

 

映画。好きだった。国語社会苦手だったんですね。
世界文学全集だとか読めない子だったんです。
読むんじゃなくて映画で観ちゃおうという。
「アンナ・カレーニナ」「カラマーゾフの兄弟」文学作品は全部見に行きました。
お稽古だけだと息が詰まっちゃう。
先生に「どうしてもあの映画見たいんですけど、
来週のお稽古『来た』ことにしていいですか?」「ああいいよ」(笑)

 

仕草を究める

 

父は立役でしたから。
一人は相手役として女形ができるようにってことで
お前は女形、もうひとりは立役と決められたんですね。
「あ、よかった」とおもいました。立役には興味がなかった。
女形は存在が綺麗。
手を付くときは、必ず膝より手前のところにつく。
そうすると若く見えるでしょ?細部の組み合わせですので、決め手はないです。
絵や写真を数限りなく観る上での取材ですから。
(浮世絵とかも)観ますけど。全く同じではないけど雰囲気を取るというか
絵描きさんも、人間の形通り描いてはないじゃないですか。
そこ翻訳して、見方を覚えていく。

花魁の着物、一番重いのは40キロ。

2代目中村七之助君も、5代目尾上菊之助君も
(立役と女形)両方やりますからね。純女形は非常に難しい。
今、両方やりすぎるのね。
「兼ねる」は、男がちゃんとできて女をやる。
或いは、女がちゃんとできて男をやる。
どっちもやるんだけどどっちもかたっぽの味がしちゃう。
それは兼ねるんじゃなくて「女男」だよ。
ふたりとも30ですから、やってきちゃったから。
・・当人に任せます。
舞台のこと、芸度のことは当人の志の問題。
他人から言って、なるもんではない。
でも私は、そっと、当人たちには言っております(笑)
そっと何度か言ってるうちに理解しない人には、言わないです。
風のように「片っぽの方がいいんじゃないの?」って。
「父はこう言ってたけど」「そう?」「はい」って。
僕たちの時代って、すれ違いざまに大先輩が「だめだよ」って言って
次に治ってなかったら言ってくれませんよ二度と。
すごい厳しい時代でした。僕は真面目に聞きました。忘れなかったです。
例えば、養父が良くないといった役者の演技を見るでしょ?
「よくないね。兼ねるとは言わないよ」これで終わり。
その言葉の中で理解できなければ、繊細な微妙なことは理解できない。
若いうちから大役付いたからって、その気になっちゃいけないよ。って
朝昼晩言われました。茶碗の置き方も人が見たらどう思うかとか
「お前が先輩だと思いなさい。後輩がいい着物着て歩いてたら
 気持ちがいいかどうか考えなさい」って。
「玉三郎を良くしたかったら褒めないでください。
本当にお前のことをよくしたいと思ってるんだったら、ちゃんと
言ってくれるだろう」

今、心に響く曲
ミルトン・ナシメント「魔法の町」
追記:たぶんこれ。原題をもとに調べました

Cidade Encantada by Milton Nascimento - YouTube


海に潜るのが好きなので、自分でビデオ作りたいけど
どんな曲にしようと思って選んだのがこの曲。

「黒豹」というアルバムの4曲目に収録。
※現在は廃盤のよう。