すごくお若い時にビートルズが初めて日本に来て、タラップをずっと降りてきたらっしゃった時から写真を撮っていいという、公式カメラマンだった浅井慎平さん。
浅井:あの時はもう、アイドルでしたからね。
徹子:行ったんです。武道館に。女の子たちが「きゃ~」って。何にも歌が聴こえない、これ事実ね。リンゴスターって人が、ツンツンってやったら、お腹にズンズン響くぐらいで。ドラムが。あと何にも聴こえなかった。どんな風体だったかも覚えてない。
浅井:僕は写真撮らなきゃいけなかったんで。音は明確には聴こえてなかった。あの人たちは13,14歳ぐらいで今おじいちゃんおばあちゃん。でもね鋭かったと思うなぁ、あの時13,14ぐらいでビートルズが感覚的に理解できた。オトナはちょっと無理でしたからね。
徹子:歌聴けばいいのに。トイレ行かないで漏らしちゃう子とかいたんですよ。
浅井:見てたの?
徹子:ちょっとあたし、オトナだったからね。 ビートルズの写真撮ってどうでしたかとか、いろいろ言われるでしょ。
浅井:何千回と答えてるので、お答えしません。
徹子:飽きたでしょ。こないだ感動したのは ポール・マッカートニーがあんなにかっこよく、70代なのに一度も座ることなく引っ込むこともお水飲むこともなく、昔より愛想よく「ヘイ・ジュード」も「みんなで」とか「女性だけ」「男性だけ」「一緒で」って日本語で。そんなこと言う人じゃなかったのにねぇ。
フロリダ、キー・ウエストの水鳥の写真を見ながら
浅井:鳥ですら、生涯を楽しんでるらしいです。全ての生き物は生きるのは大変だけど。
徹子:退屈してる動物もいますけど
浅井:退屈してることを楽しんでるの。
料亭の息子
「まっとうじゃないんですよ。やや歪んでる」
浅井:約束の中に生きられないってのは大変なことですね。僕に限らず。
徹子:ワタシも、母とバイオリンのことだけだった
浅井:そのお嬢さんがこうなるわけでしょ。
徹子:あの時ビートルズを撮ったら、有名になっちゃったんですって?
浅井:そうでもないですよ。知的なジャーナリズムから見れば、けしからん若者。
徹子:でも公式写真家ってことになれば。
浅井:それはたまたま運がよかった。表現者ってでもね、才能とは別に運があるかどうかで決まる。それは徹子さんだって同じ。人生のターニングポイントが、ひとにはありますよね。
徹子:あのビートルズが撮れたのは、面白かったと思うわよ。
気難しいところはあったけど、僕には気を許してたなぁ。僕がいない時でも、ふらっと来て寝転がったりして「おう帰ってたの?」撮られる時には、世間が「こういう風に思ってもらいたい」という形で撮るわけですよね。でも友達だとそうはいかない。
僕は目的のない写真を時々撮るんだけど、渥美さんは、本名が田所さんでしょ。田所さん、車寅次郎さん、色々な顔があるけど、田所さんを撮ろうと。僕から見ると2枚目。ハンサム。
アフリカで水は飲まないようにしてたんだけど、2人とも氷飲んじゃって、ものすごい下痢しちゃって。渥美さんだけがホテルに残って、あることないことしゃべりつづけた。ひとりじめしてよかったな。
僕好きな人挙げろって言われたら、渥美さん挙げますね。あの人に会いたいなぁって思うと会えて、親しくなりたいなぁって言うとなれる。渥美さんは親しくしていただいて、楽しい思い出がいっぱい作れた。