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まとめ・文字起こし+ココログ過去記事集

ボクらの時代 又吉直樹×川上未映子×山内マリコ

川上(山内さんは)今までにないリズム。面白い、お会いしたいなと思って。

又吉 作家さんの名前出してテレビで紹介するのって怖いんですよ。
みなさんファンの方がいらっしゃるのに、嫌じゃないかって。
芸人が薦めてるやつ、読んでみようと思うかな。家帰って「とんでもないこと言うてもうた」
山内 アタシもすごいくよくよするタイプ。昔はすごいあったんですけど、最近はとにかく忘れようとして今日のこれとか、しばらく引きずると思う
又吉 読書スタイル。風呂もありますし、歩きながら読んでる。
歩きながら。はかどるんです。
川上 いつが初期かわからないけど、歩きながら読むのが好きでした
又吉 夜の井の頭公園とか、ただ暗いから、街灯のとこゆっくり歩いて、光ようなってきたら帰るとか

川上 芸人さんって、いろんなところに気を使いながら、共同作業じゃないですか。結構チューニングするの大変かなって。もし自分がそういう立場やったら。
又吉 ひとりで本読んでて、その流れで次の瞬間ひな壇にみんなと座ってチューニングってあるんですけど。芸人てみんなそこがすごい。僕は誰よりも一番できないんですよ。みんなもともと協調性、バランス感覚が長けてる人が多いからできるんですよ。
ひな壇にばーっと並んで、誰かがなんかやって一斉にワーッとコケたりするんが僕すごい苦手で。観てて「あ、面白いな」と思ったらもうみんな立ってるから。相方おるときは、相方が(合図で)肩をトントンと。プロの作家さん、1個の短編にどれくらいかかるんですか?
 
川上 作品によりますが短編集「愛の夢とか」は、一番長いので80枚ぐらいだと2日で書ける。次の日とか使い物になんないですよ。ぐったりして。「乳と卵」は20時間で書いた。
 

山内 締め切り前の集中力が突出してて。頭の中で完璧に出来上がってるのに書くと以下かそれぐらいにしかならない。

川上 イメージがあって「また今回も負けに行くんだな」子どもを育てながら、旦那さんも小説家(←阿部和重)って家の中どうなってるんですか?結婚、興味あるんですけど。2年ぐらい同棲してて。

山内 まだ入籍はしてないです
川上 うち、書斎は一つなんです。一緒に書くんですよ。横におっきいテーブルがあって。パソコン(向かい合わせに)並べて。赤ちゃん。ほとんど今、仕事できないです。おなかに入ってるときは、体一つやから破水するまで仕事してた。産んだ直後も普通に書いてたけど、今動き回るので。これから仕事する形をもう一回作りなおさないと。もうすぐ1歳。伝い歩き。育児してると、今しか書けないものがあるから不安になる。小説を書くと、赤ちゃんがこんな風に見つめあって過ごせる時期は2年でなくなるから、仕事してるのは間違ってるんじゃないかとか生きてるのが辛いんだね。
山内 女子である以上お料理から解放されない・・・(山内)
又吉 鼻で笑わないで下さいよw僕結婚のことはちゃんと考えてますから。結婚がリアリティを増してきてますね。梅干しを瓶に入れてて、開かへんかった時に父親があけてくれる。握力が異常に弱くて、とか、車の免許持ってへんし、とかどう考えても結婚できる条件がない...できひんことを言ったうえで助け合えばいいかなと思って。精神的な準備は整ってます。あとは相手。ある程度怒ってくれた方がいい。ドアにぶつかりたい衝動ってないですか
川上 あたしも髪の毛5時間ぐらい触ってる時ある。小学校の時からの癖で。隣の人の髪の毛触ってたり。
又吉 普通よりずれたものを作る。職業的に。それと同じで、私生活、飯の食い方散歩の仕方でもまんべんなく擦れてて。仕事の面は許してもらいつつ、それ以外は正せるひとがいい

川上 あたしものすごいネガティブなの。子どもの時からカウントダウン制だったの。「おばあちゃんまであと何年」とか。そういうことばっかり気になる。誕生日は死に一歩近づくのになんで「おめでとう」なんだろとか、人生に対して夢と希望よりは不安でいっぱい。自分で決めて生まれてこなかったでしょ。気が付いたらいて、気が付いたら強制退所させられる。これってすごく暴力的だなと。そんな風に考えてる自分が子供作っていいのかなって。相手の説得で。仲間が増えるって思えたことが大きかった

 

又吉 子ども産んだったら子ども嬉しいやろなって思ってました。読んでた小説に
「命がアメーバの時からつながってきているのを自分で止めてしまうことの責任」って書かれているのを読んで、考え方が変わった

山内 甥っ子姪っ子を見ていると「この存在によってどれだけ大変になるのか」ってことに目が行く。産まないって決めている人たちは気が楽になっていると思う。呵責はあるかもしれないけど。少子化とか女性手帳とかどうしたらいいか悩んでしまう。原稿料だけでは食べていけてない。普通に仕事なりバイトなりをしてると何も書けなくなっちゃうので専業でやってるんですが、そんなに儲かってもないので。ワーキングプアみたいな感じ
川上 小説だけで生活していけるのは一握り。エッセイの連載はあると決まった収入が入るから、それでやってるひともいる。お金のこと言うと成り立たないんだよ。だからお金のこと見ないようにしてる。あたしらの年代は、作家、小説家のプライドとか自負とかあんま、なくない?元々不景気に生まれてきた年代が勝ち進んでいく気持ちがないのと一緒で。作家になりたいと思ってなった人って認めてもらい対応してもらうことで作家だと思ってる
山内 偉そうな職業というイメージがある。作家って恥ずかしくないですか。個人的な思いを書いて世間に発表してる時点で恥ずかしさを持たなくなってきてる
川上 自意識の延長でフィクションを作るのではなく、一番遠いところで作る。自分が知らなかったことに出会えるのが創作。元々書きものは男の人のもので、だから文学は終わったなんて言われるけどそんな文学なら終わってくれて結構と思っている。そこから始まっていく。