.net.amigoココログ跡地2007~

まとめ・文字起こし+ココログ過去記事集。

ボクらの時代 若林正恭×平野啓一郎×マキタスポーツ(抜粋)

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若林:僕深夜ラジオとかで下ネタとか、結構よろしくないことを言うんですよ。その若林をもっと昼の主婦向けで出せとファンの人から言われるんですけど、無理なんですよ。高級グルメとか、芸能人のお宅訪問とか、ちょっとあんまり好きじゃないなと言う目線を送ってて。ぶっちゃけ昼の仕事をやっていいものか悩んでたんですよ。物質主義みたいな、広告塔をやる俺はいいのか。凄い問題意識だった。その時に平野さんの本読んでて。マキタさんと居る時人格と、平野さんと居る時の俺は別人だし、それでいいじゃないかということが書かれててずいぶん救われた。悪いことのように言われるでしょ、裏表があるとか。本当の自分はひとつだと思わされてしまうと、友達と仲良くしてても、家に帰ると「あれはしょせん俺に向けて使い分けてる顔だ」思い始めると、人生がつまんなくなると考えた。

平野:人間はいろんな顔がある。分ける人、と書いて「分人」
若林:自分を肯定するのが今の時代難しいことなのかなあ「一億総ツッコミ時代」自分が劣等感とか敗北感があるとツイッターで攻撃して。なんでこんなに難しいのかなって聞きたかったんですよね。29で初めてテレビ出て。9年間友達がいなかった。テレビもあまり見なくて。ヘキサゴンに出て初めてこういう人たちがいると知った。物質主義アンチのままテレビに出ちゃったから。

マキタ:こんなに「物質主義」っていう人もいないと思うよw共産主義でいいよね。商業主義とか。
若林:自己防衛だったんですよ。劣等感。お金ないから、彼女できたってディズニーランド連れてくお金もない。まっとうな社会に適応できる人と、昔の作家さんだと社会不適合だとか。
平野:不適合者ですよ。文学って実生活でハッピーで満たされてたら、そんなに本何百ページも書きたいと思わないわけですよ。違和感があって、自分はこうなんだと言うのを書きたいから本を書くんじゃないか。昔は無頼派は神格化されたんですけど、今、太宰治とか写メ撮られてへべれけの作家って笑われたり。あそこの女の子と居るのにこっちにも手ぇ出して最悪って言われたり、カリスマ的に見えない。きちんとカウンセラーに相談した方がいいんじゃないですかって話になる
マキタ:東京に出てきたの18の時だけど、そこではじめて全然コミュニケーションができないことに気付いた。田舎の狭いコミュニティは通用しない。5月に5月病になったのね。大学にも通わなくなって。

若林:僕も女の子としゃべれなくて、バーベキューする奴を下に見てた

平野:僕もバーベキューが嫌い。まずね、暑いさなかに外で肉焼かなきゃいけないか。そっから理解できなくて。きれいごとでなく、金持ちになりたいと思わなく、自分のやりたいことをしたい気持ちが身もだえするほど強かった。最初に書いた「日蝕」はマニアックな小説だったので。小説書いてるって恥ずかしくってずっと黙ってた。バイトして何とか食えりゃいいなって思って
マキタ:平野さんはピン芸人。若林は春日みたいな人とコンビ組めるんだから、コミュニケーション能力はあるよね

若林:言葉は悪いんですけど、コントロールしやすかったんですよw女の子が200人集まってたりするライブハウスでウケたら、たぶんいい気になって「やる」って言うんじゃないかと思ってた。性格上目立ちたがり屋で自己顕示欲が強いって、高校の時からわかってたし。たまたまウケたんで、いい気になってそのまま。すべってくれるとぞくぞくする。皆さんが思ってくれてる以上にバカですから、理路整然と台本通りに漫才やるんだったら、そんなに楽しくないだろうなと思っちゃう

平野:僕は子どもが先にできたので、結婚しようか、と。そっからが大変。年中ガザ地区。ほとんどが彼女のシマなんだ。生涯この人と一緒てのは幻想なんだけど、信じてもいいと途中から思うようになった。

 マキタ:だから春日との関係性が作品なんだと思う。将棋の盤面とか、指しながら上からみてるわけじゃないですか。実際1コマだったら、目線で見ればものすごい辛いです。大変です、結婚は。いいとこだな、詰めてんなと考えれば、もっともっとやってやろうと。

平野:僕は1歳の時に父親が亡くなってて。今、子どもを風呂に入れたりしながら「このぐらいのことは父がやってくれたんだ」と思う。生物として子供を観察するんですよね。教えたわけじゃないのにどうしてかんでものを食べるのかとか。瀬戸内寂聴さんに「どうして出家するんですか」と聞いたら「実が実ってふっと落ちる瞬間が出家なんだ」出家と結婚くっつけるのも何なんですが。なんでその時だったのか、ってのが。若林さんと結婚する人は会うなりいきなり「合ってる!」

オスカー・ワイルドって作家が「金持ち以上にいつもお金のことを考えてる人は、お金のない人だ」僕もお金なかった時は、昔のCD5枚ほど売りに行って、から揚げ定食なら食べられるかなと思ったり。
マキタ:僕はあまりお金のことは考えないようにしてた。自分の充実度だけで。人に信用されたいと思って。自分のやってきたことがどれだけお金に変わっていくのかが面白くなった。ざっくりいうと年収六千万、月五百万稼ぎたいよね。その気になって頑張ればすぐ百とかに。若林君経験あるだろうけど
若林:09年の夏にファミマのATMで両膝ついたwすぐソフトクリーム食べました。五百万は時の人って感じの額だし。MCクラスだよね。

 マキタ:たぶんCMのオファーとかあると思うんだよね。年のうちに億稼いで。結構今は一期一会感バリバリね。

若林:売れたら事務所に健康診断に行って来いって言われる

平野:最初の原稿料(新潮)は250枚原稿書いて70万振り込まれた。原稿料で一番安い。でも学生で十万単位だから、天下取った気分だった。テレビで、大事業成し遂げた人が成功体験話すじゃないですか。ほとんど参考にならない。結果論て感じ。おもしろいからやってみたら、ゆくゆくはいいことにつながる。

マキタ:7勝8敗、8勝7敗のところで行くとずいぶん楽になる。今1戦1勝てことになってるけど。俺常滑競艇場でえらい目にあった。全くウケなかった。もうイベンターが呼んでくれないと思う