万城目(以下万):寄らしてくださいって言っても 「いや、心を許した人しか上げさせない」
森見(以下森):ああそうそう。万城目さん来たことない
万:いちいち理由言わんでええんちゃうって思いますけど
上田:僕はよく...
万:なんと(笑)
森:綿矢りささんも(来た)。万城目さんぐらいですよ、来た事ないの。
万:おかしいでしょ。仕事場で撮った写真見て、本棚に同じ本があるとかリサーチ済み。
森:そんなことまで(笑)出来るだけ仕事に関わることは、万城目さんとはしゃべらない。万城目さんとは一応ライバル。役に立つ意見とか言いたくない
万:全然ライバルとか思ってないです(笑) 小説書いてるんだから、ひとりで荒野を歩いてるような感じがするんですよ。テリトリーを誰かと奪い合ってる気もなく、そういう時に森見さんは
森:今はあんまり気にしないけど、お互いに関西で
万:静岡で働いてますよ。あ、いや無職でした
森:んふふふ。
万:会社を辞めて
上:1回会社をやめられたんですよね。どれぐらいで
万:2年とちょっとですね。全然書けないですよね。疲れちゃってるから。スパッとやめて、無職の間に集中して。できたらラッキーやし、できんかったら諦めて就職しようと僕は思って決断したんですけど。だからデビューしてお会いしたら働いてるんですよ。めっちゃフルタイムで。フルタイムで書いてる僕よりも書いてて
森:あの頃はね
万:これは具合悪くなるでしょ、って言ったら「いやいや俺はやる」みたいな感じのことを
森:そんなこと言うたかな
万:「鬼神の如く俺は働く」みたいな感じで言ってて。これは怪しいな思うとったらやっぱパンクしはって
※2011年、森見さんは作家業が多忙を極め体調不良に。休業のため多くの連載をストップし、東京から故郷の奈良へ引越す
森:東京に居て、国会図書館に勤めながら連載もやってたんですよ。
万:僕の中で森見さんと編集者の図が、手塚治虫のトキワ荘みたい(笑)
森:あの時期はちょっとおかしかったんですよ。自分の能力を過信し(笑)編集者の皆さんも僕の能力を過信して
万:ほんの一年経って「奈良で毎日散歩してます」とかね「美術館回ってます」とかね
森:暗黒時代ね。「お前やばいぞ」言っても多分聞かないと思う。その当時の自分は理屈ではわかるけど今の自分はこういう状況だからやらざるを得ないんだ、という。聞く耳持たないと思うんですよ
上:僕も似たような時期が確か。僕のほうが先で
森:万城目さんは割にセーブして、ちゃんとやってますよね
万:小学校の時に「まんが道」読んで。調子こいていっぱいいっぱい引き受けて、すべての連載を落とすっていうのを読んで。ああいうふうにはなりませんってすごい思って。絶対1個しかやらないんですよ
森:ずっと一つのもの書いてたら「ウ~」ってならないですか
万:それアレですよ、編集者の思うツボですよ(笑) 「気分転換にこれ(もう1本連載を)どう?」って言っちゃうかもしれない
森:いやいやもうやらないですよ
万:気分転換なんかないって。そういう風に言ってくるんですよ。余計死ぬだけや。気分転換は書かないことであって。
森:プレステはするんですけど
上:朝とかは元気なんですけど、文章も書けるんですけど
森:元気じゃないと書けないですよね。元気なくなってくると、お話追うだけになっちゃう
上:ああ、分かりますね
森:そのまままっすぐ進んでいくと面白くなくなって時々ずれた飛び方するとか。あれ、そっちに飛ぶの?みたいな。で、本題に戻って。ブレも面白い
万:僕は森見さんと完全に正反対
上:完全にメチャクチャ共感してました。
森:その膨らみが新しいものを連れてきて、また書きながら膨らんでいく
万:全部をやりきり、疲れきってようやく頭の中から遊びがなくなって初めて書けるんですよ。遊びたい怠けたいが全部消えて最後に字書くんですよ
森:そこまで反対とは思わなかった
万:元気な時って、逆に、絞れなくないですか?疲れてようやく落ち着いて
上:すごい旺盛やないですか
森:生命力が強いんですよ
万:なんですかそれ。何を知ってるんですか(笑)
万:登場人物が勝手に動く、みたいなことおっしゃる方がいるんですよね。ないわ~、思うんですけどね
上:順序だてて、っていう?ルールを外れてっていうのは、劇団員の方が上手
森:自分の文章で勝手にやる。万城目さんみたいに全部コントロールしてやるのは暗黒時代に経験したことなんですけど。完璧に構想作って描こうとしたけど3日で無理でしたね
万:先に決めへんと
森:何となくあっちの方へ行きたいなと
万:不安で書けないですよ。初めて文章書き始めたの何歳の時?
森:小学校の3年生ぐらい。最初は紙芝居でした。クラスのお楽しみ会。
万:僕は21歳の時ですよ。突然長編小説が書けて。3人ぐらいに読ませました。その3人が「気持ち悪い。読まれへん」(笑) 「主人公が万城目に見えて気持ち悪い」所々村上春樹の小説のシーンみたいのが入ってて、自分で全然そんなつもりないのに「村上春樹の小説で読んだ気がする」言われるわけですよ。そんなん絶対ないで、思って書いてたら 同じようなシーンがあったりして。それからあかんわと
上:パソコンでゲーム作ってプログラミングやったりして理系に進もうかな思ったとき、たまたま演劇に出会って。高校ですね。頼まれて書いて。好きで、ってとこから全然入ってない。
森:スポーツもしないから書いてるか、自転車で遠くに行ってしまうか。自動販売機が好きなんですよ。今も。郊外の住宅地や溜池の周りに自動販売機があると、自分の頭に書いて。
上:自動販売機は僕も好き
万:なんでそんな相槌打てるの。この話に。
上:森見さんとは気が合ってる
万:なんですか、それ
上:自動販売機がある風景を、僕も自分の劇で書いて。
森:人に好きって言えないから小説に書くんですよ
万:下宿に帰るときに自転車こいでたら風がふわっと吹いてきて。鴨川方面から。ちょうど3回生で何もやることなくて透明というか。半年もたてば就職活動が始まる。急に文字で書き留めなくちゃいけないと思って長編小説になった。
※放送開始13分でオープニングが流れるのっていつもと違う感じ
万城目さんは東電の株買ったら震災が来て大損
勝間和代がね、タンス預金してる奴は馬鹿だ、株と資産と分散しなくちゃダメだと
その通りだと思ってやったら株が暴落して、ほんとタンス預金がいちばんだ。
真面目に書いて慎ましく生活するのが一番。
ストレスを常に感じた方がいい作品が書ける
森見さんは生活の糧が別にないと、編集者と対等に話せないと思った
しょうもない小説書いて売れなかったら自分でコントロールできる
上田さんは東京と関西の往復。サウナのような生活
万城目さんおもろかった
4年後