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まとめ・文字起こし+ココログ過去記事集。

【抜粋】BS朝日 ザ・インタビュー 井上陽水×吉永みち子

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曲作り
 
吉永:「傘がない」前半は社会性が出てて、後半は「ん?こういうこと?」
すっと違う方向に行ってしまってるような。
陽水:そういうのあるかもしれない。そういう風に思っていただけるなら  そうしとこうかと。社会性が出てきたんですね(笑)しゃべってることとか、昔書いたこと、楽曲もそうだけど「曲を聴いてください、そこに本当の僕がいますから」そういう風に言える状態じゃないですよ。締め切りに迫られてあることないこと書いてる。こうやって夜丘に登って、君の髪が少し...とか,そんなことあるわけないじゃん。明日レコーディングだってのにね、曲ができてない、何も浮かばない時があるんですよ。いやどうすんのかねぇって(笑)行かないってことはできない。スタジオで「陽水さん今日はどんな曲を?」[うん、ビートルズの曲のカバーを」(笑)書けないと落ち込むような鋭敏な精神状態じゃないんですよ。もっとぼわ~んとしてて「ちゃんとやってんのぉ?」「やってない」言葉は出ないね。苦し紛れが多い。そうやって見ていただけると分かっていただけるかと。

孫のこと、夢。
吉永:お孫さんとかに関心ありません?
陽水:時々卓球しに行こうよって。なかなかですよ。エネルギーが...あんまりおつきあいしてると。
吉永:65歳でしょ。これから先のことって、考えません?
陽水:叶わぬ夢ですがね。映画に、参加したい。
吉永:映画作りたい?
陽水:参加っていうか。そういうこともやりたいなあと。
吉永:ほんとに久しぶり(15年ぶり)こんな形でお目にかかるとは。妙なところで妙な形で。お断りされるんじゃないかと。
陽水:なにをおっしゃいますやら(笑)
吉永:今も階段の足音を聴きながらドキドキ。今年はデビュー65周年ってことはないか。ごめんなさい。生誕66周年。
 
陽水:45周年でもありますし。多少話題になったアルバムが。何か頼みましょうかね。椅子とかお茶は大事です(笑)世界は広い。広い中でも日本はちっちゃい。ちっちゃい中に政治経済文化いろいろありまして、その中に芸能ってちっちゃいのがありまして、その中の出来事なんで、わいわいわいわい言うのも・・お気遣いありがとうございます。もちろんあれでしょ?吉永さんは僕より若年ですよね。
吉永:多少。
陽水:失礼しました。
吉永:1学年上なんですよ。郷土愛ってあります?
陽水:うん。一般論として、僕もあ、そうだなと思えるところがあって。福岡県人は、なんかね、郷土を自慢する傾向があるなってのは確かにあるなあ。
 
吉永:博多ってのと、北九州は、違う?
陽水:違いますよ。北九州は炭鉱、八幡製鉄が以前あって「花と竜」言葉が強い「なしか、きさん、どげんしよったか!」とか。ドイツ系なんですね。博多は商人の町、朝鮮半島と交流があって、ある種洗練がある。「まぁあんた、なんしよんしゃったと?」と。幾分フランス語になるんですね。ドイツ系とフランス系がフランスにはあってね。きたないんですよドイツ系は。
 
憂いを帯びた少年時代
 
陽水:にぎやかで明るい少年だったと自分では思ってるんです。その証拠に、近所に顔見知りの八百屋さんがありまして。家族に「挨拶は笑顔でしないとね」って言われてたから、そこ通るときに「おはようございま~す、行ってきまぁす」「まぁ陽水(あきみ)ちゃんほんとにご挨拶が明るくいいわね」じゃ、暗い少年じゃなかったんやって。
でも16,7,8になると、翳ってるものが美しいんじゃないかって。高校時代に新しい価値観になったんで「愁いの年表」を作った。現状に満足してるわけじゃありません。
 
生まれた時から英才教育?

陽水:本とかに書かれてること、全て真実だと思わないでいただきたい。口から出まかせだから気をつけないと。読み書きそろばん、時々英語・・勘弁してよって。
吉永:あの田川でよ、読み書きそろばんとか書道に行くってのはそんなにないよね?
陽水:そうかなあ・・八百屋とか大工の子とかいましたけど。僕が3つだから多かったかも。特別なことじゃなかった。

井上陽水の原点
 
吉永:町内会のバス旅行で歌って、オバさんたちに褒められたって。
陽水:当時はカラオケなどありませんから。バスの中のマイク回して、これこれ石の~地蔵さん♪西へいくのはこっちかえ♪(←美空ひばり花笠道中」)この歌歌ったような気がして。喝采を浴びたんですね。他に褒められることはないから。音楽の授業で騒いでたら、つきもりとみこ先生が「何騒いでんの?罰として歌いなさい」って。「今は山中今は浜・・」って歌ってたら、つきもりとみこ先生が「井上君うまいわね」って。コンクールに出たかどうか定かじゃないけど。歌を歌うことは、辱めを受けることなんだと。心の中では「そんな恥ずかしいことはできません」今でも辱めを受けながら歌ってる。恥ずかしいことはできません。
吉永:それでサングラスをかけちゃう?
陽水:そうですね。40年間で2.3回、かけずに歌ったことはあるけど。サングラスなしでギター持って出ると「んん?まじ?」なしで記念写真撮ると、誰と撮ってるのか分かんない。
 
「リバーサイドホテル」

吉永:「誰も知らない夜明けが明ける」夜明けが明けるってどうよ?
陽水:そこは気付かなかったな。リバーサイドって川沿いに決まってるじゃんって、漫才のツッコミみたいなことを言われたりしますが。

吉永:あたしが書いたら編集者に絶対言われる。

陽水:助詞的に考えてダブってるからNGだって言うけど、そこに人間の愚かさがあるわけ。つるんとしたひっかかりのない間抜けなもので満ち溢れてるわけよ。こういうものをダメだっていうために給料払ってんのにって。大きな文化発展の芽を摘み取られてるわけですね。「窓の外の林檎売り 」は「ミネソタの卵売り」から来てんのかなと。
自分の思ってるように展開してくれない。エンターティメントに対しては腑に落ちないと言うか、そこが我儘だって。あんまよくないんじゃないかな。