フツーに街なかを歩いてやってきた小田さん。
小田: 歌で出迎えてくれたん?
拓郎: きょうは時事放談でもやろうか
小田: 難しい話はできないよ。
打ち合わせいらないよね。 いらないいらない・・・
拓郎: ラジオで(対談は)あるけど、テレビではない。カメラが近くにあって。元々テレビが苦手ってとこあるじゃない。「テレビで歌いたくない」何が嫌だったかって言うと、体質とか偉そうなこと言ってっけどホントはテレビカメラが怖かった。目の前で赤いのがついたりするとドキッとするようなのがあって。
小田:歌わないでよけりゃ出てもいい。僕は平気。
拓郎:平気?
小田:自分はどっちかってっと、向こう側に居るような体質だから。ちゃんと撮れてるかなあとか、あんまり寄らなきゃいいなとか。ここ3人いると楽だよね。「そうだよな」って言える。拓郎のこと「すごいな」って言った時、お前に言うしかないじゃん。
拓郎:僕は、だけど、小田和正とちゃんと話したことないからさ。俺達ないじゃない。すれ違ってばっかりで。君はお酒飲まないから。酒の席に居ないじゃない。話す機会がなかったんだよね。前にあの、ラジオで聞いたことあんだけど、昔の憧れの女優は、ナタリー・ウッドって言ったことあったんだっけ?
小田:かわいかったよね。
拓郎:そこぉ、俺は、違うと思うんだよね。ナタリー・ウッドってそういう対象じゃないと思う。
小田:対象でも何でもなく「かわいい」と思っただけよ。
拓郎:そういうことを日本の若いアーティストなんかに「かわいい娘だねぇ」なんて言わないですか?例えばAKB48とかに「君なかなかかわいいね」
小田:出会わないし。それは言わないだろうなぁ。
拓郎:でもそういう歌は作るじゃない?
小田:え”??まぁ「君を抱いていいの?」とか?
拓郎:そんなことよく言えるなと。とんでもない大胆な発言だよ。
小田:歌だから。
拓郎:歌のほうが自由に生きられてる?
小田:だから女々しいとか言われてるけど、俺としちゃそれが全てでもない。言われても関係ないなって。歌だから。
拓郎:女々しくないよ。君のラブソングはかなり男本位だよ。男のわがまま。「君を抱いていいの」そんなことをほざく男はね、男の風上に置けないね。小田和正君はそういう人だと思われがちなんだよね。話をしたりコメント聞いてると体育会系。女々しくないでしょ?
小田:礼儀とかはね、大事にしたい。期待されたら応えたい。あいつ面倒くさいなと思われてるかもしれないけど。
拓郎:小田和正流って、かなり多くの人が納得してると思う。小田さんがやるんだったらいいよねって。俺は「小田だって間違いはやるよ」と。オフコースが大ヒット飛ばすことによってさぁ、それまでとは周りが変わってくるじゃない。俗に言う「売れてくる」自分で気がついた?
小田:若いお客さんが増えたよね。小学生にきゃぁきゃぁ言われたね。どっかでは「よっしゃ!」みたいなものはあるかもしれないけど、すごく嫌だったんだね。
拓郎:きゃぁきゃぁが?
小田:今はとっても嬉しいんだけど。要するに、どっか「同級生が見たらどう思うのか」一緒に勉強してた仲なのにキャーキャー言われて。「アイツなんなの?」そういう面はいっつも意識してたね。すっげぇ恥ずかしいの。アイドルは10代とかそういう人たちだと思ってた。オフコースのブレイクは30代。今だったら充分キャーキャー言われてもいい。若い奴ら見てて。40だっていいんだから。当時は「30近くなって言われてる時代じゃないな」すごく嫌だった。
拓郎:もったいないことだね...
小田:街なんか歩いてたら特にそうだよね。
拓郎:「オフコースは歌番組には出たらいいじゃない」って思うけど僕らは「出ない」って言うのがウリだったから。
小田:アマチュアかプロか分かんない時分に結構出たの。朝のちょっとした番組とか。夕方とか。嫌な思いしたんだよね。バカにされた感じの。屈辱的な。それがずっと尾を引いたよね。ラジオは一緒に作ってくれる。ラジオは味方。テレビは敵。テレビはニーズがあるわけじゃないのに、出さしてやってるって。歌わしてやってる。「嫌なら帰っていい」って。マイク1本しかないのに歌えって。口パクが絶対嫌だったし。今考えると楽だけど。
拓郎:どの辺まで恨みがあっていつ頃から許せるようになった?
小田:そうだなぁ...歌えるようになったんだよね。スタッフも。テレビ局も世代が変わった。みんな年上だったのが 自分より若い人たちがスタッフになり始めた。
拓郎:貢献度かなり高いと思うよ。僕らが意識変えた。「取材してやるんだから」って言ってる時代に比べたら。
小田:ぐずぐず言ってる時代があって幸せだったよね。若い奴としゃべってると、俺たちがその頃の話したら、目ぇキラキラするもんね。
曲 ラブストーリーは突然に(どーもどーも)
さよなら(←武道館ライブDVD)
春だったね
YES-NO(←武道館)
言葉にできない
たしかなこと(どーもどーも)
拓郎:俺らが出てきたころは、そんなカッコイイ奴いなかったもんね。
拓郎:こういう顔の持ち主はいなかったし、着てるファッションね。人とは違ってて、自分なりに先端行ってたんだ。
小田:変な話だな。
拓郎:個性的だった。当時フォークソングとか言ってるパターンがあるとすれば、そこに入ってない。なんか違うと感じてた。浮いてる。一足違う男なんだと感じる若者。やな男だったわけよ。その頃は。
小田:ちょっとイケてるやつとかいなかった?
小田:圧倒してる存在感はどこに消えた?
拓郎:まぁ君たちとか、オフコースが武道館やったりして聴いたりしてると、ついにこういう時が来て、俺の天下じゃなくなってきたなと。バンドだしね。グループサウンズじゃないバンドに異常な憧れがあるわけです。スタジオミュージシャン呼んでもできないことはグループで出来る。君たちの登場は非常に不快。
小田:それは今まで知らなかったね。
拓郎:適当にできない?
拓郎:アルバムは合宿みたいにして10日ぐらいであげたい。
小田:「人生を語らず」の時は
拓郎:かけた。全然曲作りに苦労とか苦しみとか皆無。スッとできてる。俺は天才じゃないかと思うくらい行けた。昨今は頭を悩ませ足をからませ、あの頃作った曲のワンフレーズにも満たない...
小田:スッと書けたことはないですよ
拓郎:「さよなら」「YES-NO」あたりは何をやっても書けてたと思うよ。君がどうであれ、曲の方から降りてくる。神様が「YES-NO」を書かせる。そういう曲は不滅。いつ聴いてもいい。七転八倒して書いた曲じゃない。最近は可成り七転八倒してる。なんか最近億劫なんだよねってメールが小田さんから来た。同感だった。
小田:拓郎は「億劫なんだよね」ってシチュエーションに居るのがよくない。飽きちゃうとか言ってないでやるのがいいんじゃないかな。やっぱり億劫はだめだよな。
拓郎:点数上げるために言うと、ボイストレーニング行ってる。しょうがねえなやるしかねえなって。...億劫なんだよなww
拓郎:スキヤキ以来ビルボードに日本の曲が登場しない。小田君、どうして日本の音楽は、駄目かね?
小田:やっぱり視聴されてないんだよね。日本でいい音楽しようと思って「世界の」って形容詞つけるじゃない。アメリカの亜流で、それより優れたものがゴマンとある。そこへ切り込んでいくには亜流じゃだめなんだけど。
拓郎;オリコン1位じゃなくてビルボードの情熱を燃やさないのか
小田:そこは、見てないから。
拓郎:ここ10年とか20年の人たちはそんなことどうでもいいと思ってる。俺が作った曲をロッドステュワートが歌えばいいのにとか。
拓郎:これから音楽を作っていくんだし、多くの人に聴いてもらいたい。僕は堅いけどあと3年で70になるから、それまでにアルバム何本とかステージ何本とか。