@代々木八幡宮
3人を引き合わせたのは、7月19日で一周忌の原田芳雄。
石橋:家族に呼ばれて、飲んでると、今でもあの人懐こい笑顔で
野太い声で、上から降りてくるというような。
不謹慎だけど(亡くなった)実感がない。
あいつとしゃべったことは何も覚えてない。ただ顔とか、雰囲気とか。
普段は「ずーっと笑ってる変なおじさん」しかないね。無防備。
顔つき合わせて共演したのは5本ぐらい。
楽しみなのは現場で芳雄がどう出てくるか、だった。
初日だけえらく緊張する。「竜馬暗殺」(74’)は勝負だから
ここでなめられたら終わりだ、一生もんだから、こうやればこうする、
生き方のキャッチボールみたいな関係。
打ち合わせじゃなく、現場で駆け引きが出来るのはいいなぁと。
カメラワークで、役者さん自分の後ろにこられるのが嫌なんだ。
なんか怖いって言うんで、相手も下がろうとするから
カメラマンが「ちょっとすいませんもう少し前に」。
70年代はどういう風に生きていこうかと選択する時期だった。
お互いの作品を見ながら「下手だなぁ」「作りこみすぎ」
「わかったよ」「うまいよ」といいたくなる時もあったけど
本人には言わなかったの。あいつには芝居のことは評価したことないよって
突っ張りはあった。「大鹿村騒動記」の時は思わず
「芳雄ってうまいんだねぇ」って言っちゃった
家が近所。家族ぐるみで20年のお付き合い。
夏の初めは毎年ここのお祭りに来てた。
おみくじも何もしなくて、ただ、飲む。
1回も共演はしてないけど、息子の喧太と飲むようになって
石橋:「うちに来てほしい」と。原田芳雄も「よく存じております」なんて。
唐十郎さん(=「海ほおずき」で原田芳雄と共演)は
千里眼みたいな長いもので見てるシーンで、アドリブで
急に芳雄君のほうを見たんだって。
そしたらタバコの煙入れてきて、中に何も入ってないから
唐さん眼が痛くなっちゃったんだってw
それで唐さんが「原田に負けた」って言っちゃったんだって。
芳雄君楽しそうにしゃべるんだよな。
勝村:石橋さんと4人で飲んだ。石橋さんの話を2人ともすごく聞いてて
絶滅危惧種みたいだった。
宮沢:家に呼んでもらってたんだけど、行く機会がなくて。
(「父と暮らせば」の時には)毎日お互い4ページぐらいのせりふがあって
お酒好きなんだけど、もう飲めなかった。明日も4ページずつだから。
毎朝会うと「昨日飲みました?」「飲めませんよぉ」うまい下手は通用しない。
それより、ちゃんと生きてるか、ここはホントに揺さぶられてるかが勝負で
巧みに芝居が出来ることなんかいくらってことを教わった。
石橋:家族全員、友達も子供も孫も「ヨシオ」と呼んでいた。
欧米に憧れてたんじゃない?(爆笑)俺はゼッタイ許さないけど。
1日(誕生日が)違っただけで「さん」づけよ。
勝村君なんかテレビだから「クン」つけてるけど普段は「芳雄」
縦社会の日本では珍しいよね。どこまでが家族かわからない。
公式の場で本当の家族はコレだけかって。
俺のデビュー作を持っててね、うちに行ったらどっかで聞いた様な
声が聞こえてきて。俺が12歳のときの作品。
周りが呼んでるから、たまには「お父さん」って呼んだら
お互いが赤面した。「芳雄でいい」ってことになって。
酔っ払って物壊したり、大変な。そこらじゅうにおしっこしたり。
夫婦間の関係を見てたら、生きることは戦いですよ。
スケジュール帳のぞいたらびっしり書き込んであるんですよ。
年が変わって最初に書くのは俺たちの誕生日なの。
芳雄が死んで息子と2人で寝ずの番して飲んでて。
線香上げてたらスケジュール帳が出てきた。
葬儀の日は俺と杉本(哲太)の誕生日も書いてあった。(←7月21日)
勝村:葬儀場で「きょうは勝村と杉本の誕生日だからここで祝いましょうか」
葬儀場でケーキ&「ハッピーバースディ」イカレてるでしょう?
チューかなんかして笑いとって。
※収録日の前日が勝村政信の誕生日ということでりえちゃんがワイン?を。
「これ冒頭にやるんじゃないの?」と蓮司さんw
「勝村の誕生日と芳雄の一周忌に乾杯」