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まとめ・文字起こし+ココログ過去記事集。

ボクらの時代 綿矢りさ×長嶋有×ブックデザイナー名久井直子

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名久井さんは綿矢さんの「かわいそうだね?」のブックデザインも手がけた。

どっかで見たことがある、と思ったら「情熱大陸」長嶋さんと綿矢さんは2001年デビューの同期。

名久井:いついつまでに小説を書け、って言われてるんですか?

綿矢:言われてる人もいるし。私は朝起きて昼ごはんまで書いて。散らかしてもいいような大きい机で。食べ散らかしのお菓子とか、読みかけの本置いててもいいように。起き抜けからやらないとやる気が・・・

長嶋:この世界は締め切りがあまり厳しくない。書き終えたときが締め切り。

名久井:年間数百冊(ブックデザインを)してて。計算上は3日で1冊だけどコンスタントってワケじゃない。作品のいいところをすくってあげようと思って。自分が読者だったら、この本あまり好きじゃないってのもあるだろうけれど、手をつなぐ感じというか。でもどうしても、たまに言いたいことがあって、「タイトル変えたほうがいいんじゃないの?」ってふたつぐらいあった。字の並びとか(レイアウト的に)

長嶋:僕ね、ゲラ(修正をチェックするための試し刷り原稿)読むのがいやで。自分の書いたもんまた読むのかみたいにならない?

綿矢:ワタシは視野が狭いタイプやから、ぎゅーって、逆に自分の原稿とか見るの好き。
名久井:直しのゲラとか見る機会も多いんですけど。ラブシーンだけに赤字がたくさん入ってて。

綿矢:わたしはそういうシーンだけOKで、他のシーンにいっぱい入ってる。あっちが気を使ってる。この人がそう思うならそれでいいみたいな。

長嶋:ほぉらOK!

名久井:売れる売れないは気になりますか。職業柄すごい気になる。増刷かかったら「よしセーフ!私は悪くないな」と。工業製品だから部数が多いほどいろんなことが安くなる


ふたりとも「気になる」

長嶋さんの嫌いな言葉は「増刷」w

サイン本で好きな言葉を書いてくれ、といわれると「増刷」

たちまち重版、と入れるために最初の出版部数をものすごく低く設定する

出版社もいる。そらお前マッチポンプだろ、とか、そういうことばっかし気になるから。

綿矢:売れへんかった時に、その本がどこへ行くか、どんな冷たいところにいるのかとか...

名久井:第2の人生をね、新聞紙とか。そういうことを考えると、加工とかあまりよろしくない。数年後に、爆発的に売れた本と、そうじゃないけど良書ってのが同じ土俵にいて、残る残らないは売れた売れないではないということになっていくのが面白いな。

綿矢:最初から再生紙になることを考えるというのは...エコとか...

長嶋:出したときに次の本が出せるほど売れればいいや、と。売れる売れない以前に、書くことがなくなって「冷蔵庫にある具を料理して出す」でだんだん空っぽになっていく。(綿矢さんは)そういえば17歳でデビューしたんだ。立派になったねぇ。僕が今感じてる「インプットが減って行ってる」感じが最初からあったんだね?逆に教えを乞うことがあるかも。ボツ原稿ください。「長嶋出版」にして。柴崎(友香=「きょうのできごと」「その街の今は」)さん、すごい書いてて,200枚自分でボツにしたって言うから、僕「ちょうだいよ」って。でもね、ボツにならないのも不安なんだよ。事実関係が間違ったまま載っててもいいのかな。編集者は綿矢さんにナメられまいとして、若いのに増長するからボツにするのかも。必死なんですよ向こうも。僕が想像するに。僕は手のかからない次男坊みたいな感じなのよ。締め切りも逸脱してないし。

●子供時代

綿矢:体格がよくて頑健な人は本を書かないと思うんですよ。私は病気がちで、すぐ学校休むし、熱簡単に出すのですぐ机の前に座れる。娯楽がマンガと本でしたね。りぼんがすきだった。「なかよし」読んでる子は相容れなかった。「りぼん」はマセてる。「とくんとくん」みたいな、影から見つめてて、とか。高校まではスポーツ系の男の子が好きだった。

長嶋:人生ゲームとか、ボードゲームやるのがすごい好きでした。ずっと遊んでたら、男の子たちが急に外で遊ぶとかなるとずっとボードゲームやってたいのに。綿矢さんの小説の中の「心の中の騒がしさ」が好き。

名久井:「なかよし」読んでる子は派手で強い感じがしてた。

長嶋:「とくんとくん」って点滴じゃないよねw「なっかー」知ってる?「なにすんのよ」って言えない。筒井康隆さんの言葉に「恋は書くもんじゃない、するもんだ」というのがある。日常の延長に恋愛があるから、自然に出てくるものは読みたいよね。僕が60,70になって、30、40で会った時には「同じ冊数になったね」「僕は20ページ・・・」